尾高邦雄選集 第四巻
 労働者意識の構造
尾高邦雄 著
A5判 278頁
本体価格 3,496円
税込価格 3,845円
1995年4月1日刊行
ISBN978-4-944088-04-1 C1336

【 解説 】
社会学者尾高邦雄が生前の最後の仕事として自らまとめた選集の第四巻。この巻に収録の論文の多くは、主著「産業社会学講義」(岩波書店)からの転載である。第1章は日本の労働者の意識を実証的に研究して、会社と労働組合への二重帰属意識の存在を浮かび上がらせた、わが国の産業社会学を代表する調査研究の成果である。第2章には、実証科学として、産業・労働・組織について研究する「産業社会学」の方法論が示される。その最後には、尾高の晩年の関心事である産業民主主義の方向性が示され、社会学における理論と実践が、大きく意識されている。第3章、第4章は、アメリカ社会学のもたらした人間関係論、職場士気、リーダーシップが批判的に議論される。第5章では人間疎外と組織の関係が述べられ、第6章ではそれを克服するための、労働者の経営参加が提唱される。

【 目次 】
第1章 労働者意識の構造
 1 労働関係と帰属意識
 2 帰属意識調査の方法
 3 調査結果の予想と実際
 4 帰属性タイプの構造分析
 5 帰属性タイプと労使関係の安定

第2章 産業社会学の領域と方法
 1 産業社会学の研究領域
 2 労働者生活の社会学
 3 人間溯及的視点
 4 人間溯及的分析の方法
 5 歴史研究、実態調査、比較分析
 6 産業社会学における理論と実践

第3章 人間関係管理批判
 1 その源流
 2 にせものの横行
 3 戦術転換の由来
 4 操縦主義的管理の批判
 5 経営民主化の要点

第4章 職場士気とリーダーシップ
 1 モラールの重要性
 2 ホーソーン工場の実験
 3 モラールの測定
 4 モラールを高めるリーダーシップ
 5 リーダーシップの環境づくり
 6 リーダーシップの行動様式
 7 むすび ――指導と士気

第5章 組織のなかの人間疎外
 1 疎外労働と疎外意識
 2 マルクスにおける疎外の概念
 3 人間疎外の根源
 4 産業官僚制の功罪
 5 組織改革と経営の民主化

第6章 参加革命の理論
 1 参加時代の到来
 2 労働における人間の復権
 3 自主決定と自主管理の権利
 4 仕事の主人としての労働者
 5 パートナーとしての労働者
 6 参加と自治の効果
 7 参加革命の実践
 8 むすび

【 著者紹介 】
尾高 邦雄 (おだかくにお)
1908年 東京・下谷区根岸生まれ
1932年 東京帝国大学文学部社会学科卒業、文学部副手となる
以来、助手、講師、助教授、教授として、文学部社会学科で後進の指導に当たる
1969年 東京大学を停年退職、名誉教授となる 上智大学経済学部教授となる
1979年 上智大学を退職
1981年 主著「産業社会学講義」(岩波書店)を刊行
1993年 脳梗塞による呼吸不全のため死去、享年84歳

| 書籍を注文する  | トップページへ戻る  | 社会学関連図書のページヘ戻る |

Copyright (c) Musoan All Rights Reserved.