尾高邦雄選集 第五巻
 日本的経営
尾高邦雄 著
A5判 334頁
本体価格 3,496円
税込価格 3,845円
1995年4月1日刊行
ISBN978-4-944088-05-8 C1336

【 解説 】
社会学者尾高邦雄が生前の最後の仕事として自らまとめた選集の第五巻。尾高のねらいは、職業生活における人間の復権にあった。戦後の混乱から経済的に復興した日本、その繁栄を支える大企業での労働を社会学的に分析して、生産性の向上と人間性の復権が同時に実現する方向を示唆しようとした。第1章ではいわゆる日本的経営を概観する。第2章、第3章で経営の民主化が説かれ、第4章から第6章で集団主義を鍵概念として、日本の経営風土を分析する。第7章、第8章では、その風土の上に構築されるべき職場の自主管理制度について述べられ、職業生活における人間の復権が提唱される。

【 目次 】
第1章 日本的経営の神話と現実
 1 「日本に学べ」
 2 日本的経営の神話と現実
 3 お国自慢の日本的経営論
 4 二重構造と日本的経営
 5 日本的経営の源流と展開
 6 集団主義について
 7 日本的経営のメリット
 8 日本的経営のデメリット
 9 日本的経営革新の試み
 10 むすび ――日本的経営は移植できるか

第2章 日本の経営 ――その伝統主義と民主主義
 1 先進工業国日本に残る封建制
 2 日本の工業化に関する外国人学者の見解
 3 伝統主義の寄与にたいする過大評価
 4 人類学的先入観にもとづく誇張
 5 民主化の動きにたいする認識不足

第3章 産業の近代化と経営の民主化
 1 中山さんの主張
 2 多元的近代化理論の問題点
 3 産業の近代化は社会の空白を結果したか
 4 民主化の動きはすでにはじまっている
 5 経営家族主義の後退と技術革新の進展
 6 経営者は何をすべきか
 7 経営の合理化と経営の民主化

第4章 日本的経営の社会的背景
 1 日本的経営の慣行
 2 経営慣行における集団主義と個人主義
 3 日本の産業化と集団主義の経営慣行
 4 日本の産業に成功をもたらした諸要因
 5 基礎社会における集団主義慣行
 6 日本的性格としての集団主義

第5章 集団主義経営の将来
 1 集団主義の起源
 2 集団主義経営慣行の成立
 3 時代の推移と効果の減退
 4 日本的経営の革新

第6章 集団主義と日本的経営
 1 はじめに
 2 日本的経営の崩壊
 3 集団主義とは何か
 4 江戸時代に栄えた運命共同体
 5 文化的特質としての集団主義
 6 日本的経営の革新

第7章 職場の自主管理
 1 職場レベルの直接参加
 2 自律作業小集団の構造
 3 自律作業小集団のリーダー
 4 自律作業小集団の機能
 5 小集団自主管理制度の効果

第8章 自主管理制度と組織改革
 1 任意研修制度から自主管理制度へ
 2 前提としての組織改革
 3 職場管理者の新しい役割
 4 自主管理制度と成果配分
 5 中小企業における自主管理制度
 6 自主管理制度導入のプロセスと労働組合の役割

年譜
著作目録
余録 尾高煌之助

【 著者紹介 】
尾高 邦雄 (おだかくにお)
1908年 東京・下谷区根岸生まれ
1932年 東京帝国大学文学部社会学科卒業、文学部副手となる
以来、助手、講師、助教授、教授として、文学部社会学科で後進の指導に当たる
1969年 東京大学を停年退職、名誉教授となる 上智大学経済学部教授となる
1979年 上智大学を退職
1981年 主著「産業社会学講義」(岩波書店)を刊行
1993年 脳梗塞による呼吸不全のため死去、享年84歳

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